本当に歯科検診を有効利用していますか?

待って!!その歯、ほんとに削らないといけませんか??これからの損をしない学校(職場)歯科検診と歯科医院の利用方法

皆さんは、まだ、むし歯は「早期発見して、治療しないといけない」と思っていますか?

これからは、その誤った常識にとらわれないようにしてほしいと私は考えています。まずは、むし歯の特性を正しく知ることです。

以下の内容をよく読んで、ぜひわかってほしいと思います。

歯には、唾液を利用した「再石灰化」というすばらしい自然治癒能力があります。

ところが、「早期発見・早期治療」という考え方が、根強くあって、穴があいたむし歯を見つけては、「削って詰めて。抜いて。入れて。」という

修復治療を繰り返している

場合が、いまだに数多くあるようです。私たち、まちの歯科医院では、このような旧態依然とした日本の歯科医療についての考え方と取り組み方は、もうこのあたりでやめた方が良いのではないかと考えています。

果たして初期のむし歯は本当に必ず進行してしまうものなのでしょうか?

むし歯の診査表

上のむし歯の診査表を見て下さい。

歯がいろいろ並んでいますが、さて、どれが「むし歯」でしょう?

答えは、「2段目から下はすべてむし歯」が正解です。ちょっと分類しただけでも。こんなにたくさんのむし歯の段階があるのです。

「あれ??一番上の右端は??溝が黒いよね。むし歯じゃないの??」と聞かれる方がよくいらっしゃいます。

 

このような溝の黒いのは、確かに黒いのですが、穴があいていない状態ですから、実は、ごく初期のむし歯が再石灰化して治ってしまった後、もしくは、色素が沈着しただけかもしれないのです。もし、そうであれば、まちの歯科医院で採用している最新の診断基準(世界的なむし歯診断の基準であるICDAS=左の画像は、日本ヘルスケア歯科学会が頒布しているものから引用)では、「正常」なので、削る治療を行いません。 定期検診と手入れを続けながら、経過を観察していきます。

 

黒いからといって必ずしも削らないといけないとは限らないのです。

 

むしろ、二度と元にはもどらないので、進行するかどうかを見きわめないですぐに削ったらいけないのです。

さてそれでは学校(職場)検診はどのようにして行われているのでしょうか?

検診は、担当の歯科医師が肉眼で行います。ほとんどの場合が、体育館や保健室など照明が不十分で、事前の歯磨きが不十分な状態で行われています。

しかも、一年にたった一度だけしか行われません。 歯医者の立場から言わせてもらえば、それだけでも、

 

診断などは決してできない環境です。

 

なぜなら、隠れてしまって見えないものは判断すらできないし、初期むし歯の進行には、それなりの時間がかかるからです。経過を観察しないと、診断することなどできないはずです。つまり、集団で行われる

 

検診では、歯のある一瞬の状態を断片的にみているだけで、

 

これから先、悪くなっていくのか、ならないかをみているわけではないのです。

それでも、穴があいているのに放置されているむし歯は、はっきりわかります。

穴のあいたものは、悪いところを削って詰めないとさらに悪くなるのでできるだけ早く削る治療をしないといけません

ですから、まちの歯科医院では、小さくても、穴があいてしまってから見つけた場合は、

早期発見ではなく、残念ながら、かなり進行してしまった

と考えることにしています。

つまり、黒くても穴があいていなければ、

 

ケアをしながら、削らない治療を選択できる可能性がある場合と、ただちに削る治療をしなければならない場合があると理解していただきたいのです。

 

では、万一、学校(職場)歯科検診で「黒いけど正常」なのに、「黒いからC(むし歯)」とされてしまったら、どうでしょうか?経過をみないと果たして進行するかどうかもわからないのに、削られて、銀歯やプラスチックの詰め物になってしまう危険性はないでしょうか?ということを心配しているのです。

繰り返しますが、検診は、歯科医師が肉眼で行います。一定の判定基準があるものの、「C」とするか「正常」とするかは、数値で表すようなものではなく、

 

歯科医師ひとりひとりの主観に任されているため、実に曖昧だと言わざるを得ません。

 

しかも前のページに示したように、ひとことに「むし歯」と言っても、様々な段階があります。

そして、年にたった1回だけの検診では、再石灰化をさせながら経過を観察すれば良いのか、進行中のものなのか、判断することなどは絶対できません。それなのに

 

「疑わしきは罰する」という早期発見・早期治療型の判定をしてしまうと

 

黒ければCと判定して「早期治療勧告」をしてしまうこともあるでしょう。

それでは、こんな検診と歯科治療の関係の中で、いったいどのようにしたら、むし歯と「本当は必要ないかもしれない早期治療」から歯を守っていけるのでしょうか?

 

 私たちがお勧めしているのは検診は歯科医院で定期的に「精密検診」を受けると同時にセルフケアのトレーニングを続ける

 

ということです。

学校(職場)検診で「むし歯がありました」と判定されたら、「精密に検査が必要です」という意味に考えてください。

なぜなら、本当に進行するのかどうかをみきわめることが不必要な「削る治療」を避けるため

に、非常に重要だからです。

歯科医院で、歯をできるだけ削らないで済むように、精密に診査・診断するには、最低、3~6か月の期間を必要とします。それは、判定するのに、非常に時間がかかるからです。でも、その期間を、

セルフケアのトレーニングと予防体制の整備をする期間に

すればよいのです。

うまくいけば、穴があく前の本当の初期むし歯は、停止するか、治ってしまうことがよくあります。それだけでなく、一生自分の歯の健康を守るための基礎作りもできます。これが、定期的な検診をお勧めしている理由のひとつでもあります。

むし歯予防のポイントは、たった3つのことです。

  1. 大きな間違いのない食生活
    ダラダラ食べないこと。砂糖摂取の制限をすること。
  2. セルフケア・テクニックの充実(トレーニング)
  3. 定期検診と同時のプロケア

まちの歯科医院で行っている定期的な歯のクリーニングは、ただのお掃除ではありません

 

「原因除去療法」すなわち、治療の一部として行っています

 

すべての歯科治療後の再発防止のためには、充分なセルフケアと定期的なプラーク・バイオフィルムの破壊と除去が何よりも大切です。

修理や修復の治療が終わっても、継続的に原因除去を続けて、ぜひ、より良い状態を保ってもらいたいと、まちの歯科医院では、切に願っています。

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