今までの歯科　意識改革が必要です．

従来の歯医者は，ほとんどの人にとって「歯が痛みだしたり，歯ぐきがはれたり，欠けたり，外れたり」という「何か問題があってから，修復治療のために行くところ」でした．また，「早期発見・早期治療」の名の下に，果たして進行するのかどうか，経過をしっかり診断することなく，また，歯が悪くなった本当の原因に対策をとらないまま，念のために「削って詰めて．抜いて，入れて」という治療をを行ってしまう傾向がありました．

　その「治療を繰り返した結果」は，いかがでしょうか？

お口の中に，年々，銀歯やプラスチックの詰め物，入れ歯が増えてきていないでしょうか？子どもの頃から検診を受けるたび，まじめに「治療のために」歯科に通ってきた人ほど，その傾向が強くあります．

けれども，歯医者が，よかれと思って「早期発見・早期治療」をした歯ほど，数年おきに問題が起き，銀歯の脱落，むし歯の再発，さらには痛み出して神経を取られ，挙げ句の果てには，治療したにもかかわらず，数年後には抜かれてしまい，入れ歯になってしまうことが多いという，残念な事実があります．このことに，すでに気付いておられる方も多いのではないでしょうか？

いま，私の周りの歯科医師たちも，そのことをしっかりと受け止め，何とかして「歯を削らないように」「歯をできるだけ抜かないように」することに取り組んでいます．

「削ったり，かぶせたり，治療をしていない歯ほど残っている．または，ごく初期の変化であれば，むし歯が治ってしまっている．」

逆に，早く治療をして，しかも治療をくりかえした歯ほど，早くなくなってしまう．

ということに気づき

「本当の治療」に取り組み始めたのです．

本当の治療とは，ただ修復するのではなく，歯が悪くなる原因を継続して取り除き，歯が悪くならないようにすることです．

「予防」と言った方がわかりやすいかもしれませんね．

最近，国も法律をつくり，「国民が，日常生活で歯科疾患の予防に向けて取り組むことがお口の健康を守るためにきわめて有効である」と示しました．

「自分のからだは，自分で守るしかない」時代が，すでにやってきています．

「

歯は，毎日磨いているのに，たまにむし歯になってしまう」

「歯を磨いているのに，歯ぐきから血が出ることがある．」

という経験がある方は，次の3つのどこかが抜けていないか，確かめてみてください．

１．大きな間違いのない食生活になっているでしょうか．　

　　 砂糖を含む食品，ジュース，スナック菓子などを頻繁に摂っていないか．間食の頻度が多くないか．

２．セルフケア・テクニックの向上に気をつけていますか．

「食べ終わったら出来るだけ早くブラッシング」しているか．歯と歯の間，歯と歯ぐきのさかいめを意識して，ブラッシングが出来ているか．デンタルフロスや歯間ブラシなどを使って，すき間をそうじできているか．磨く順番を決めて，全体に歯ブラシを当てることができているか．

３．定期検診と同時のプロケアを受けていますか．

病原性細菌プラーク（歯垢や歯石）の破壊と除去をする，定期的なプロフェッショナルクリーニングを受けているか．セルフケア・テクニックの点検とトレーニングを受けているか．

いかがでしょうか？何か，抜けているものはなかったでしょうか？私たちは，

これからの歯科は，「病気を予防するために行くところ」

と決めていただきたいのです．それは私たちは今まで，治療にお見えになるたびに，歯がさらに悪くなったり，歯を抜いて入れ歯を入れなければならなくなった方たちを，数えきれないぐらいみてきたからです．そんな時，本当に残念で，悲しい気持ちになります．

それは「お口の健康を守るための予防」は，みんなで協力すればそんなに難しいことではないと知っているからです．するのか，しないのか，それだけなのです．

今まで定期的に歯科検診を受けていない方，数年以上歯科に行ったことが無い方は，ぜひ，早めにお口の健康チェックとプロケアを体験にお越し下さい．